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Rachel’s Lament 楽曲解説

1.Comrade Conrad (Bill Evans)

浜ちゃんとやるまで、恥ずかしながら全く知らなかったエバンスのオリジナル。お陰で、エバンスの影響は皆無、白紙の状態でこの曲を弾けた。16小節で完結した楽曲を、キーをAbからEbに転調すると同時に4拍子を3拍子にして16+16=32小節1コーラスとした面白い構成の曲。「同志コンラッド」ならぬ「同志浜ちゃん」として、このDUOのオープニングに相応しい曲名だ。-by 福田


2.Triton’s Dream (Wataru Hamasaki)

地球を代表する漫画家手塚治虫さん。僕の精神構造は幼少期から“火の鳥”、“ブラックジャック”、“ブッダ”などの代表作をはじめとして手塚作品の影響を受けまくり。“海のトリトン”は海を舞台に、人間と、人間侵略を企むポセイドンと、主人公トリトンの三つ巴の物語。
人間の愚かさ(環境破壊etc…)という正当な理由をもって人間を排除しようとする一見残虐なポセイドンと、人間に対する愛情との間に挟まれ、トリトンは皆が幸せに暮らせる方法はないかと苦悩する。この物語からは“いかに自然と調和して生きて行くか?”という手塚さんの地球賛歌的なメッセージを感じる。この曲はそんなトリトンの夢に対する僕のオマージュです。-by 浜崎


3.Rachel’s Lament (Shgeo Fukda)

1980年代のSF映画 “ブレードランナー” にレプリカントの美女として登場したレイチェルの、悲運な結末にインスパイアされて書いた曲で、初録音は2002年のアル・フォスターとの共演盤 “Inner Views” に収録。浜崎航&福田重男DUOでは欠かさずやって来た、僕らの定番曲でDUO結成のきっかけにもなった曲。-by 福田


4.Portrait of Undercurrent (Shigeo Fukuda)

ビル・エバンスとジム・ホールの名盤 “アンダーカレント” へのオマージュとして、布川俊樹(g)とのDUOアルバム “Old Boys’ Dreams” のために書いた曲だが、浜ちゃんのテナーとの相性もよく、新たな魅力を引き出してもらった。-by 福田


5.When I am in the Ocean (Wataru Hamasaki)

これまでサックスやジャズの雑誌には沢山登場しているワタクシですが、なんと2017年遂にもうひとつの僕のライフワークであるダイビングの分野の専門誌 “月刊ダイバー” のインタビューを受けました。プロダイバーとして、これはもう2017年ぶっちぎりに嬉しかった出来事でした(笑)。
“ジャズとダイビングに共通するもの” についてそのインタビューで話したのですが、それは “緊張とリラックスが同居している状態” です。自分の存在も海と同化してなくなってしまうくらいリラックスしてるけど集中している状態。雑念から自分を解放して共演者の音と一体化するジャズの興奮。その最中の醒めた意識。この曲のタイトルはまさにその愉悦の極みを表現しているのです。
そして、福田さんのイマジネーション溢れるプレイに敬服です。-by 浜崎


6.Sail Away (Tom Harrel)

現代ジャズシーンを代表する素晴らしいトランペッター、トムハレルのオリジナル。
海の乗り物の中で最も海と一体化しているのはヨットです。高回転のエンジンで海を切り裂くようにすすむモーターボートなどのヤボな乗り物とは違い、風を受けて海面を滑るように走るヨットの姿は、乗っても、見ても心に何か落ち着いた感触を残してくれます。トムさんはそんなヨットの姿に思いを馳せてこの曲を書いたのでしょう、水平線の彼方までヨットで旅する昂揚感、リラックス。とても素敵な曲です。-by 浜崎


7.Wistful Moment (Rolland Hanna)

サド・ジョーンズ、メルルイス楽団を始めとして、サラボーンの伴奏を務めたり、素晴らしいピアニストであるローランドハナの作曲。本人の演奏はボサノバ調で演奏していますが、今回は4ビートスイングで演奏しています。ピアニストとしては勿論、ローランドハナは黒人の教育のために私財を投じ、黒人の復権に寄与したとして国から “Sir” の称号を貰っている、人としても目標とする偉大なレジェンドです。
何度演奏しても飽きることが無いメロディーの美しさ。-by 浜崎


8.Bitter Sweet (Shigeo Fukuda)

最近イヴァン・リンスのトリビュートアルバムを出した、祐生カオル(vo)のデビュー・アルバム “Bitter Sweet”のために書いた曲。ドラマー市原康主催のTRIO’ “Love Is Here To Stay” 布川俊樹(g)との “Childhood’s Dream” などで、ボーカル、ピアノトリオ、ギターDUOとやって来たが、テンポその他で爽やかであったり、メランコリックになったり、変幻自在な曲だ。さて、今回のテイク、皆さんはどう感じたでしょうか……。-by 福田

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