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Blessing 発売 インタビュー

■ 軽やかなグルーヴ感やピアノの音色を楽しんで欲しい

98年に1stアルバム「Blessing」が発売されたときのインタビュー記事を掲載します。

― 初めてのリーダー作「ブレッシング」をリリースするにあたって、福田さん自身はどのようなアルバムを作ろうと思ったのですか?

今までメイン・ストリームのジャズやフュージョン、ロックっぽいものなど、いろいろな音楽をやってきたんだけれども、自分の中にある音楽に対する美意識というのは変わらない。例えば、ある人は情熱やパワー、ロマンティシズムを持って音楽を聴いたり自分で演奏したりするポリシーがあると思う。僕の場合は、それが軽やかなグルーヴであったり、ピアノの音色だったりするんだよね。それは音楽のジャンルが違っても変わらないもので、自分が表現したいものは一貫している。そういうものを表現したかったというのが、まずひとつだね。

― ピアノ・トリオという編成に関しては、何かこだわりがあったのですか?

ピアノを一番表に出すとしたらピアノ・ソロがいいんだろうけれど、一番自分の出したいもの、今ピアノで表現したいと思ったものはピアノ・トリオだと思うわけ。今回は、あえてピアノ・トリオで自分を表現したかった。アルバムは、全10 曲収録中オリジナル曲が4 曲なんだけれども、全部オリジナル曲だったら、ピアノ・トリオにこだわらなかったかもしれないけれどね。

― ロン・カーター(b)とジョー・チェンバース(ds)と共演してみてどうでしたか?

彼らとは普段いっしょにプレイしているわけではないから、まず僕と彼らの接点になる音楽というのをポイントに置いた。僕はジャズをプレイする上で大事なことはスウィングすることだと思うのね。僕が日本でやってきた“スウィングする”ってことが、彼らとやって本当に機能するのか、うまくいくのかっていうことを一番試してみたかった。リズムやグルーヴが合わないと、音楽としてギクシャクして ヒステリックなものが出てくると思うんだけれど、それが実際にプレイしてみて出てこなかった。ああ、俺がやってきたことは間達ってなかったんだなあと思った。再確認したという感じです。

― レコーディングはどんな感じだったのですか?

リラックスしたというか、いい意味でラフなレコーディングだったね。レコーディング自体は17- 18 曲録ったんだけど、ほとんどワン・テイク、最初にやった時の良かったものを選ぶことができた。

― 福田さんのオリジナルは4 曲ですよね。

「ララバイ」は古い曲なんだけれど、あとの3 曲はわりと新しい曲。「ブレッシング」は友達というか先輩で去年(96年)亡くなったドラマーの呉在秀(オー・ジェス)へ棒げた曲なんだよね。「プリティ・ブルース」はロン・カーターが弾いたらいいんじゃないかと思って書いた曲。ロン・カーターのクールな面とユーモラスな面があるとしたら、ユーモラスな面に照準をあてたような感じだね。

― 全体としてはどんなアルバムだと思いますか?

コンセプトはさっきも言ったように軽やかさとか気持ち良さとかが出るといいなってこと。酒を飲みながら、くつろいで聴けるアルバムになったと思いますよ。別に紅茶を飲みながらでもいいですけどね(笑)。

― 最後に、今ピアノをプレイしている読者にアドヴァイスをいただけますか?

とにかくリラックスしてやってほしいですね。スポーツでもなんでもそうなんだけれど、ただ一所懸命やろうとしても力が入ってしまうだけっていうことになりがちなんだ。理想的な練習というか状態っていうのは、気合いは入っているんだけれど力は抜けているっていう感じだからね。そういう状態にしなければシャープな音符も弾けない。そういう意味で、“一所懸命”と“力を入れる”ってことを混同しないことだね。ビアノの練習の手助けとして、僕のCDでも聴いて酒でも飲んでください(笑)。

- JazzLife 1998年2月号掲載

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